うなずくことによって、話し手の話す時間が長くなる


この言葉は『いい関係が長〜くつづく「交渉」の進め方・考え方』(同文舘出版刊)に出てきた言葉です。
著者はヒューマンパワー研究所所長の松本幸夫(まつもと・ゆきお)さん。


松本さんは企業研修などを年間200回程度行っており、また著書も間もなく100冊になるそうです。
私とも長年のお付き合いをさせていただいており、
当社からもオーディオブック『耳でわかる複雑系』と『森信三先生の哲学』を発行させていただきました。
残念ながら両方とも完売です。
それはともかく本書に戻りましょう。


交渉力には「話し方」「伝え方」が必要ですが、
それ以上に大切なのが「聴き方」だと松本さんはいいます。
というのも、聴くことによって相手側の情報が入ってくるからです。
ニーズもわかってきます。
また、人は話を聞いてくれる人には好感をもつものだからです。


松本さんは次のように書いています。
「うなずき効果」というのをご存じでしょうか?
これは「“うなずく”という簡単なことによって、話し手の話す時間そのものが長くなる」というもので、
マタラッツォという学者が実験によって明らかにしました。


まず、うなずきをせずに、じっと聞きます。
すると、話し手は、「この人、本当に私の話を聞いてくれているの?」と思い、
20秒くらいで一旦話をやめます。
そのあと、ひんぱんにうなずきを入れます。
すると、話し手は50秒から60秒近くも一つの話を休まずに続けるのがわかりました。
そして、うなずきをやめると、再び20秒台で話がストップします。
つまり、“うなずく”という簡単なアクションをとるだけでも、
相手にとっては「この人よく私の話を聴いてくれているな」と感じさせることができるのです。


いかがでしょうか?
あなたも今日から相手の話にうなづいてみませんか?


この本は月刊トークス2003年7月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2003.html#200307