三代かかってやっとものになる


この言葉は『キヤノンの仕事術』(祥伝社刊)に出てきた言葉です。
著者はキヤノン電子社長の酒巻久(さかまき・ひさし)さん。
酒巻さんは次のように書いています。


キヤノンの主要商品で研究開発のスタートから製品化に成功するまでに要した年数を見ると、
複写機で18年、レーザープリンターで21年、オートフォーカスの一眼レフで22年、
バブルジェットプリンターに至っては実に26年もかかっています。


20年以上ともなれば、開発責任者は三人代わります。
初代は「あんなもの始めて」とボロクソに貶され、
二代目は「できるできると言ってもちっともできやしない」と嘘つき呼ばわりされ、
三代目でようやく時代の風が吹いてきて花が咲く。
そうやって三代かかってやっとものになるのです。


これだけ開発に時間がかかると誰だって「大丈夫か?」と疑問を抱きます。
そこでトップが、自ら掲げた夢に疑いを持ち、揺れてしまうと、
たちまち全社的な求心力は失われてしまいます。
だから、ぶれてはいけません。
かといって、夢の実現を焦って、結果を急いてもいけません。
必要なのは、時期が来るのをひたすら耐えて待つ勇気、そして「執念」です。



ひたすら耐えて待つ勇気、そして「執念」。
メーカーさんに限らず、大切なことですね。
この本は月刊トークス2006年12月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2006.html#200612