人はみな正しい選択をするようにできている

この言葉は『なぜ、そのとき人は買ってしまうのか?』(同文舘出版刊)に出てきた言葉です。
著者はコンサルタントの山本将嗣(やまもと・まさつぐ)さん。
山本さんは次のように書いています。


いつも安いデカンタのワインばかりが売れる店がありました。
私はその店にいたのですが、どうにかして、お店の売上をアップしなければいけません。
どうすればいいのでしょうか。


お客が飲み物を何にしようか思案中、そこに私は現れます。
「お悩みのようでしたら、ご説明させていただきますよ」
「これとこれは、どう違うのですか」
お客が指したのは、いつもの安いデカンタと、それより千円ほど高いワンランク上のデカンタでした。


「こちらは非常に飲みやすく、普段ワインをお飲みにならない方にお勧めです。
 こちらはわりとしっかりしたワインですので、ワインがお好きな方にはお勧めします」


これで、ほとんどのお客が高いほうのワインを注文し、美味しい美味しいと喜んでくれます。
お店もお客も大喜びです。
ではなぜ、高いほうを買ってしまうのか?
あなたの商品がワインでないことを想定して、この方法から法則を導き出してみましょう。


ポイント1は、どちらの商品もほめることです。
片方だけを持ち上げると、売る気が強く出てしまいます。これでは内容に信憑性がありません。
ポイント2は、売りたいほうを相手に合わせてほめることです。
ここでは、相手がワイン好きであろうという推測から、「ワインがお好きな方には」と表現しています。
ポイント3は、値段の差が大きくないことです。
値段の差が大きすぎると、やはり売る気が強くなります。
提案で大切なのは発言の信憑性です。
つまり、Aは素晴らしい。それより少し高いBは、あなたに合った素晴らしい商品、ということになります。


おわかりいただけましたでしょうか。
このテクニックはすでに実証ずみですから、一度あなたの職場でも試してみてください。
人はみな正しい選択をするようにできているのです。
きっと、あなたの商品にも当てはまることでしょう。



この3つのポイントを守ってあなたの商品やサービスに応用してみてはいかがでしょうか?
この本は月刊トークス2006年10月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2006.html#200610