必需品ではないが、あれば便利なものを探せ

この言葉は『“新富裕層”マーケティング』(ランダムハウス講談社刊)に出てきた言葉です。
著者はコンサルタントのポール・ヌーンズさんとアナリストのブライアン・ジョンソンさんのお二人。
著者は次のように書いています。


新富裕層を狙うマーケティングの一つに「必需品ではないが、あれば便利なものを探せ」ということがあります。
いま、富裕層の間で急成長している専門用品が調理器具です。
調理器具製造業協会の副社長、ヒュー・ラッシングは、「ニューヨーク・タイムズ」にこう語っています。
「調理器具の小売市場における朗報の一つは、男性の料理への関心が高まっていることだ。
 女性は普通のフライパンや鍋で間に合わせようとするが、
 男性はレシピに書いてあれば、抵抗なくパエリヤ専用鍋を買う」
彼によれば、専門的な調理器具の売上は2000年以降17%増えているといいます。


洋服から車、そして家まで、裕福な人は同じ種類のものを二つ、三つと欲しがるものです。
同じものを二つ目、三つ目、四つ目と買う豊かな消費者が、どんな特質を求めているかを把握することは、
必需品ではない商品を売って成功するうえで不可欠です。
冷蔵庫のメーカーも、複数買ってもらうために、デザインを変えはじめています。
二つ目や三つ目は、ホームシアター室、地下室、車の中など、さまざまな場所で使えるよう、
小さめに作られています。
さらに、ワイン・クーラーなど、特別の用途の冷蔵庫も作られています。
テレビも、キッチン用を含め、さまざまな部屋に合ったものが設計されています。
一台目であれ、二台目であれ、三台目であれ、それぞれ意図された用途が違うことが、その市場を席巻するために必要なのです。



私はアメリカ人でもなく、まして富裕層ではありませんが、
パエリヤ専用鍋を買う男性の気持ちはよくわかります。(苦笑)
あなたはいかがですか?
この本は月刊トークス2005年8月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2005.html#200508