判断基準は「社会にとって正しいか」


この言葉は『経営の実際』(中経出版刊)に出てきた言葉です。
著者はセコム創業者の飯田亮(いいだ・まこと)さん。

飯田さんは次のように書いています。


セコムの判断基準は「社会にとって正しいか」、その一点に尽きます。
お客様に安全を提供するセキュリティ事業というのは、極めて強い倫理性が要求されます。
ご契約先に万が一、異常が起こった場合、駆けつけた緊急対処員が、
預かっている鍵で扉を開けて、オフィスや工場や家の中に入らなければなりません。
大事な鍵を預かるということは、こちらを信用していただかなければ成立しない話なのです。


企業の不祥事が起こり、その企業の社員が逮捕されたりすると、その企業の社内に、
「彼は会社のためにやったのであって、私欲ではなかった」と同情するような声が聞かれます。
それはとんでもないことです。
間違った考え方です。「会社のために」という価値基準が、そもそも間違っているのです。


セコムの判断基準は「会社のために」ではありません。
「社会にとって正しいかどうか」、その一点に尽きます。
いくら社員個々人に私欲がなかったとしても、
判断基準が「社会にとって」「社会のために」ではなく、「会社のために」が優先されるようでは、
不祥事が起こる芽はなくならないでしょう。


この本は月刊トークス2004年1月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2004.html#200401