イノベーションの本質は、「いまあるものの、新しき組み合わせ、結合にある」


この言葉は、『構想力のための11章』(三五館刊)の本の中に出てきた言葉です。
著者は、水野博之(みずの・ひろゆき)さん。
水野さんは1952年に松下電器産業に入社、1990年、研究担当の副社長に就任。
1993年同社退職後はスタンフォード大学立命館大学など、日米双方で学究生活を送り、
2001年当時は高知工科大学副学長、大阪電気通信大学副理事長などを兼任されています。


水野さんは、
イノベーションは日本では、「技術革新」と誤って翻訳されたため、
日本では、「何か素晴らしい技術を発明しないことには、何事も始まらない」
という印象を与えているが、イノベーションというのはそんなに小さな概念ではない、
と言います。


シュンペーターの言わんとしたことは、
「すべての新しい考え方・行動が、人類を変え、革新をもたらす」ということで、
それは技術でも、販売の方法でも、組織でも、何でもよく、
イノベーションの本質は、「いまあるものの、新しき組み合わせ、結合にある」
と喝破したのでした。


例えば松下幸之助さんの「二叉ソケット」はサイエンスではもなく、技術ですらない。
しかしそれは「新しき工夫」であり、「新しき組み合わせ」であり、従来のものの「創造的破壊」であった、
と水野さんは言います。


「よいアイデア、よき構想力」といってもそんなに飛び抜けたものがあるわけではない。
同じようなことを考えているのは他にも大勢いる。
そうなると、あとはスピードだけが問題だ、と水野さんは言います。


本当に同感ですね。
月刊トークスを16年前に創刊したときに、数人の方々から
「実は、同じことを考えていた」と言われたことがあります。
でも、スタートしたかどうかですよね。
未来は見えなくても、
「きっと自分が欲しいと思っているものを欲しがっている人が他にもいるはずだ」
そう、信じてスタートしたのが、つい最近のことのように思われます。


水野さんのこの『構想力のための11章』は月刊トークス2001年7月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2001.html#200107