「なんでも半分」

「数値のゼロを一つとれ」


この2つの言葉は『トヨタ式人づくりモノづくり』(ダイヤモンド社)に
出てきた言葉です。


著者はトヨタ生産方式の実務指導をしている
カルマン株式会社社長、若松義人(わかまつ・よしひと)さんと
同社特別顧問、近藤哲夫(こんどう・てつお)さんのお二人です。

トヨタ式の本はたくさん出ていますが、この本が恐らく最初の本ではなかったかと思います。



トヨタ生産方式の基礎を築いた元トヨタ自動車副社長、大野耐一(おおの・たいいち)氏に
「なんでも半分」や「数値のゼロを一つとれ」とよく言われたそうです。

在庫や不良率を10%削減しろと言われれば、まだ何とかできそうな気がします。
それが、いきなり「半分」と言われると、少しばかりの改善ではどうにもなりません。
すべてを一から見直す覚悟がないとまず達成は不可能です。


厳しさの一方で、「だめでもともと。まずはやってみろ」という面もあったと著者は言います。
大野さんは、とかく頭の中だけで答えを出しがちな若い人たちに、
「実践すること」の大切さを教えてくれた人だったようです。
著者は言います。
トヨタを離れ、多くの会社でトヨタ生産方式の普及に努めるようになって、
最も痛感するのは、この「実践する」大切さと難しさです」


その他、本書には
前工程は神様であり、後工程はお客様
単能工から多能工への転換
新人が仕事ができないようならば、仕事を教える側に欠陥がある
「五回のなぜ」を繰り返して、「真因」を突き止める
改善は永遠にして無限である
トヨタ式は人づくり・・・
こうしたキーワードが出てきます。


トヨタ式というと、メーカーの人だけのように思いがちですが、
そうではありません。
業種・業態を超えてお勧めします。

この本は【月刊トークス】2001年6月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2001.html#200106