働く幸せ


これは鳩山由紀夫首相が昨日の所信表明演説で紹介した
東京都大田区のチョーク製造会社、日本理化学工業会長の大山泰弘さんの
著書『働く幸せ』(WAVE出版刊)のタイトルです。
大山さんは次のように書いています。


1960年に2人の知的障害者をはじめて採用しましたが、
私にはずっと気になっていることがありました。
ちゃんと守ってくれる施設があるのに、わざわざうちのような工場で1日中働かせることに、
どこか後ろめたさのようなものを感じていたのです。
そんなある日、ある禅寺のご住職と話す機会があり、私はこんな質問をしました。
 うちの工場には知的障害者の人たちが働いているのですが、
 どうして彼女たちは施設より工場にきたがるのでしょう?


ご住職は次のように答えてくださいました。
 人間の究極の幸せは、次の4つです。
 その1つは、人に愛されること。
 2つは、人にほめられること。
 3つは、人の役に立つこと。
 そして最後に、人から必要とされること。
 障害者の方たちが、施設で保護されるより、企業で働きたいと願うのは、
 社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証しなのです。


私は、胸につかえていたものが、すっととれた気がしました。
そして、彼女たちの「働く幸せ」を守ってあげなければ、という思いが湧き上がってきたのです。
養護学校からはその後も毎年、卒業生を受け入れ、現在では社員の7割を知的障害者が占めています。



この本は月刊トークス2009年10月号でご紹介しました。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2009.html#200910